
光の裏には、必ず影がある。
でも、その影は「失敗」でも「汚点」でもなかった。
誰かの成功体験の陰で、
何者にもなれなかった時間。
説明できなかった沈黙。
履歴書に書けなかった日々。
私は、あえてそこから書き始める。
まだ整っていない人生の、
いちばん静かな部分から。
これは、
強くなる前の話でも、
立ち直った後の話でもない。
何者でもなかった私が、
それでも生きていたという記録。
光の裏側から始まる、私の話。
──透明な履歴書・第1話
ある夜、ふとこの言葉が浮かんだ。
透明な履歴書。
病室と家を往復するだけの日々。
ベッドから起きられず、
泣いて終わる夜が続いた時間。
あれは「空白」ではなかった。
何もしていなかったわけでも、
生きていなかったわけでもない。
確かに、私はそこにいた。
だから私は、
あの時間を「透明」と呼ぶことにした。
SNSには、光があふれている。
成功、達成、キラキラした写真。
夢を叶えた人たちの声。
その裏で、
光の場所に立てない日を抱えた人たちがいる。
病気、離職、孤独、
自分の価値が分からなくなる夜。
私は、影を書くことにした。
光の側に立てない人が、
ひとりぼっちにならないように。
光だけでは、人生は語れない。
影は、恥ではない。
影は、人生の奥行きだ。
私は影を歩いてきた。
未来が見えなくなる夜の重さを、
誰にも言えない朝の静けさを、知っている。
だからこの物語は、
私だけのものではない。
私は広告の仕事をしている。
人の見られ方を設計し、
検索結果の景色を整える仕事だ。
その現場で、
人がどれほど「検索」に傷ついているかを見てきた。
一枚の検索結果で、
人生まで決めつけられてしまう世界。
でも、検索には映らない時間がある。
透明な履歴書は、
その「映らない人生」を残すための試みでもある。
光も影も、切り分けない。
全部まとめて、作品にする。
そう決めた。
アートは、光だけでは完成しない。
影があるから、深くなる。
この物語は、
その最初の一歩だ。
見えない季節を、生き抜いたあなたへ。
今日も私は、
透明な履歴書を書き続けている。
それは、生きづらさを抱えた誰かが、
いつか自分の物語を
誇れる日を迎えるための祈りでもある。
「透明な履歴書」には、言葉にならない感情を託した「主題歌」があります。 限られた時間の中で録音された、祈りのような3つの旋律。 それぞれの物語の湿度に合わせて、静かに添えました。
川島琴里の声による朗読と、エピソードトーク。 現在、一つひとつの物語に音を灯す準備をしています。 完成したエピソードから、この場所で公開されていきます。
あなたの「影」の物語を、教えてください。 履歴書には書けなかった空白、誰にも言えなかった葛藤、そして再生の瞬間。
ハッシュタグ #あなたの透明な履歴書 (または #TransparentResume)をつけて、SNSで言葉にしてみてください。 投稿された物語の一部は、今後このサイトやPodcastにて、川島琴里の声で紹介させていただく場合があります。
「透明な履歴書」は、単なる個人の記録ではありません。 現代社会のシステムからこぼれ落ちてしまった「見えない時間」や「個人の尊厳」に光を当てる、アート・プロジェクトです。
本プロジェクトの趣旨に共感いただけるメディア様、研究者様、企業様からのお問い合わせを歓迎いたします。 (※本プロジェクトは、合同会社COTOLXの社会活動(CSR)の一環として運営されています)